その8 園内移動 考
ディズニーランドという所は、それなりに広い所である。
「それなりに」というのは、端から端まで歩くのが嫌になるほど広い訳ではないし、かといってボリュームがなくてがっかりするほど狭い、という訳でもない。改めて考えると、ディズニーランドの広さは驚くほど「それなり」であるといえよう。
この「それなり」の広さは実に曲者で、入園者の「端から廻ってタイムロスを減らそう」といった様な丁寧な計画を簡単に打ち砕く。入園者は『スペースマウンテン』に乗った後で『ホーンテッドマンション』に乗り、その後で『カリブの海賊』を狙う、といった目茶苦茶な移動にさほどのストレスを感じないのだ。特に乗り物もないのに中央の広場(ファンタスティックワゴンのあるあたりですな)が混んでいるのはこんなカラクリがあったのか、と改めて驚かされる。
私の様に比較的土地観(ディズニーランド園内の)がある人間であれば目指す場所に一直線に行ける(実際には結構曲がりくねっている)のだが、始めて来た人や方向オンチの人は必要以上にあたりをウロウロする事必至である。するとそこにキャラクターやナイスなお店があったりして、本来の目的は優先順位が落ちてしまったりする。実に巧妙な作りだ。
従って、ストレンジな諸兄はぜひとも目的地を明確にし、地図を確認し、一直線に目的地を目指す事をお勧めしたい。入園時にもらえる地図に持参した旗(青い三角形の旗がよい)を立て、ターゲットに向けて邁進して欲しい。背筋を伸ばし、目標の空を見据え、脇見をせずに大股で闊歩するのだ。それが正しい園内移動である。
しかし、以前にそれを実行した時は大きな失敗があった。同行した婦女子が、何時の間にかいなくなってしまうのである。仕方なく戻って行くと、チップとデールに握手を求めていた。私の壮大なる計画は、双子のげっ歯類にいとも簡単に打ち砕かれてしまった。おそるべしディズニー。男の一直線な生き様は、数メートルで打ち砕かれてしまった。
このディズニーによる、更なる巧妙なワナから逃れるためには、複数の目標を見据え、遊撃していく作戦が有効である。
あらかじめ複数(5〜8位が適当である)の目標を設定し、旗を立てておく。それぞれに優先順位を持たせておくのもよかろう。そして、もっとも近い、または優先順位の高い目標に向かって前進する。同伴者がワナにかかったり、本来の目的地以外の目標を提案した場合、それに従う。その結果、移動がなされる訳であるが、その最終移動地点からもっとも近い目標を、新たなる目的地とするのである。これにより、『行き先も決められない優柔不断な男』のイメージは払拭できよう。イニシアチブを取ったナイスガイとしての地位を婦女子に印象づけられる事うけあいである。
さて、「青い旗」が本当に必要なのか、という質問がきそうなので、先行して答えておく。必須である。頭の中で設定しても、自分自身がディズニーのワナにかかってしまう可能性があるからだ。したがって物理的に、明確に目的地を設定する必要があるのだ。くれぐれもお忘れなき様に。